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最小限の労力で出版企画を通す方法

本を出版するにはかなりの労力がかかるのに、この出版不況のなか、たいてい、初版止まりで、初版印税しか収入が得られません。
これを、時給、月給などのように時間当たりの収入になおすと悲惨なことになります。
※ただし、本をフロントにする場合は除きます。

ただ、労力を少なくすれば時間当たりの収入は増加するため、前回は労力を軽減させることができるケースを紹介しました。
今回は、その続きです(下記2)。

1.出版企画を売り込む労力
2.企画会議で、出版企画を通す労力
2-1.編集者が、企画会議に企画を提出
2-2.企画会議にて企画が通過
2-3.重役の会議で企画採用が決定
3.執筆にかかる労力

出版企画が採用されて、出版が決まるまでには、2つの「壁」があります。
1つ目は「編集者にOKしてもらう壁」、2つ目は「企画会議で通す壁」です。
この壁を最小限の労力で通り抜けることこそ、労力を少なくするための秘訣のひとつです。
どうすればいいのでしょうか。
わたしなりのやりかたを紹介します。

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編集者にOKしてもらう壁

(上記1にもかかってくる話ですが)出版企画はつくりこめばつくりこむほど、労力がかかります。
つまり、時間当たりの収入は下がってしまいます。
また、この時点では、たいてい「こういう本を出したいな」レベルなので、どのような本をつくりたいのか明確に決まっておらず、出版企画をつくりこめないというのもあります(明確な本のビジョンをつくるのにはかなりの時間と労力を要します)。

しかし、労力をかけず、適当に出版企画をつくると、編集者から「どのような本なのかわからない。本は出せない」なんて言われてしまいます。
手間暇かけて出会った編集者から「さようなら」されてしまうこともあるのです。

かといって、出版企画をつくりこむと「うーん。うちには合わないな」「うちでは出版できなさそうですね」などと言われてしまうこともあります。
本当にそうならば「仕方がないこと」ですが、実は、やりかたを変えれば、その出版社の企画会議で通ることもあるのです。労力をかけて出版企画をつくりこんでいるからこそ、NGを食らうわけです。

だから、労力を犠牲にして出版企画をつくりこんだとしましょう。
しかし、実績が乏しかったり、ジャンルが不適切だったりして、結局、本を出版できず、出版企画をつくっただけ無駄だったという事態にもなりかねません。

出版企画を作りこむべきか、作りこまないべきなのかで、このような「ジレンマ」があるのです。

さて、ここでひとつ、疑問に思わなかったでしょうか。
それは「出版企画をつくりこんだからこそ、断られることがある」の部分です。
なぜ、出版企画をつくりこんだのに、断られるのでしょうか。

つくりこんだ出版企画だと「Yes」「No」しか判断できない

編集者の立場で考えてみてください。
すでに「原稿」があって、原稿の方向性が、自分の考えとあわない場合、もしくは、自分が勤める出版社のカラーとあわない場合、何と言いますか。
ふつう「原稿を全部書きなおしてほしい」とは言えないので、「うちでは出版できません。ほかにあたってください」と言わざるを得なくなります。
その一方、まさに求めていた原稿だと、「ぜひ、本にしましょう」と言うのではないでしょうか。
ただ、そのような原稿を手にいれることができるのは稀です。

当たり前の話ですが、つぎの順で本ができます。

・出版企画
・原稿
・本

出版企画をつくりこめば、つくりこむほど原稿に近くなって、そのうち「ほぼ原稿」になります。
だから、出版企画をつくりこむと、編集者に原稿を見せたときと同じような反応になります。
つまり、決まるときは決まりますが、その確率は低く、たいてい「うちには合わない」「うちでは出版できなさそうですね」などと言われてしまうのです。
そうすると、ふたたび「編集者探し」になります。
編集者を探す労力がもっとも大きくコストもかかるので、非効率といわざるをえません。

売れるかどうかの情報は編集者のほうが詳しい

編集者のたいはんは「売れるかどうか」を、かなり重視しています。
だから、出版企画をつくりこんでも、たとえば「市場では求められていない。ターゲットを×にしてほしい」「内容を×にしてほしい」などと修正を求められることが多々あります。
※それに対して「いやいや、こちらのほうが売れますよ」と言ったところで、売れるかどうかの情報は編集者のほうが持っているものなので、説得力に欠けます。

まだ修正できるレベルであればいいのですが、出版企画をつくりこんでいると、修正するよりも、出版企画を練り直したほうが効率的なことのほうが多くなります。
編集者も「ここまで修正を求めると、出版企画をつくりなおすことになるよな。それで企画会議を通ればいいんだけど……」などと考えるのか、「うちでは難しい。他社をあたってください」などといってきます。

つまり、出版企画をつくりこんで明確にどのような本なのか示してしまうと編集者から「修正も無理そうだな。断ろう」と思われてしまうこともあります。

ちなみに、編集者が売れるかどうかの情報を持っていないジャンル、要は編集者が苦手なジャンルだと、出版企画を売り込めないように思ってしまったかもしれませんが、それも可能です。詳しくは次回以降に書きます。

出版企画でチカラを入れるところ

このように「出版企画をつくりこんだがゆえに」編集者から断られることもあります。
「こういう本を出したい」「こういう本を出すのが、わたしの使命だ!」などと考えているのなら、たとえ編集者に断られても、「編集者を見つける」手間をかける必要も価値もありますが、「とにかく本を出したい」「こういう感じの本を出したい」「自分の実績、仕事をPRできる本を出したい」などと思っているのなら、出版企画そのものにチカラを割くのは効率的とはいえません。
では、どうすればいいのでしょうか。

それは、出版企画の「プロフィール」にチカラを割いて、出版企画そのもの自体には、それほどチカラを割かないことです。

なぜプロフィールなのでしょうか。
それは、編集者がつぎのように考えて、ひっかかる確率が増えるためです。

「へぇ、こういう実績があるんだ。ちょうど、Aのような本を出したいと思っていたんだ」
「今、シリーズで展開している本を探していて、この人だと書けそう」

本当にその出版企画はボツなの?

「この出版企画だとうちでは無理ですね。他社をあたってください」と、まるで出版企画の内容を否定するような物言いをする編集者もいます。
それは本当に内容がダメといっているのでしょうか。

20冊近く本を出してきた経験から、それは「違う」と思います。
出版企画の内容ではなく、その編集者にとって、プロフィールが物足りないだけだと思います。
なぜそのように言えるのでしょうか。

極論になりますが、たとえば、今をときめくベストセラー作家の百田氏が、おかしな出版企画を持ってきたとしましょう。
編集者は「うちでは難しいですね」と門前払いすると思いますか。
「うーん、これは難しいかもしれません。でもこのような出版企画ならかならず通しますよ」などと「対案」を出すのではないでしょうか。
つまり、プロフィールが魅力的なら、出版企画の「対案」を提案されて然るべきなので、出版企画を否定された場合、編集者の心にプロフィールが刺さらなかっただけだと、わたしは考えています。

だからこそ、編集者の心に刺さるようなプロフィールにすべきなのです。

逆をいえば、魅力的なプロフィールでなければ、いくら出版企画をつくりこんでも、本を出せないことになります。もっとも、出版企画の内容がかなり光っていればそういうこともないこともあるようですが、かなり確率が低いと思います。

ちなみに、魅力的なプロフィールとは、たとえば「高級官僚をしていて、政治の裏側を見てきた」のような、ふつうではない実績、「ダイエット」などの売れ筋のジャンルで実績を出していること、出版社が出している本のラインナップと合致することなど、さまざまな要因があります。

プロフィールは使いまわせる!

プロフィールをつくりこむと、たとえ出版企画がNGを食らっても、その労力は無駄にはなりません。出版企画の内容が変わったとしても、プロフィールは使いまわせますからね。

長くなったので、次回へ。
次回は企画をつくる具体的な方法を紹介します。

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